2024.08.27
週末は後輩ヒデが近所の商店街のお祭りに出展するので、暇を持て余した近所のおじさんたちでお手伝い。毎年恒例の「ホルモン焼き」です。
材料が40キロ以上ある上に、現在、立川駅から徒歩35分の所に住んでいる後輩は当日の運搬問題もある為、前日から我が家で泊まり込みの仕込み作業に入ります。以前、その仕込みの茹で汁から放出される大量の脂の処理で我が家のシンクが詰まった過去があるので、
「下茹でして最低限の脂を落としてから集合!」
と午後10時に現地(俺んち)入りです。「自称グルメ」の長年の化学調味料摂取で舌が完全にぶっ壊れた近隣のおじさんたちも集合。ヒデの作った最初の秘伝のタレを絡めて調理。
「う〜ん、まあ、旨いよね。。」(私)
「でもさ、、なんて言うのかなぁ。普通に80点なんだよね。小料理屋の女将が最初に出してくるお通しみたいな感じ。」(近所のおじさん1)
「コレでいいのか?10人中10人に好かれるなんて無理なんだよ!その中の1人か2人に『あまりに旨いのでおかわり買いに来ました!』そう味を目指せば良いんだよYO!」(近所のおじさん2)
「、、、、、、、、、やり直し!!!」×2
再度の試食はニンニクマシマシ、当日の炎天下での出店を見据え、塩分高めに調整。
「ダメダメ、コレはしょっぱ過ぎ!俺らの血管詰まらせて殺す気かYO!!」(私)
「背脂を後掛けして甘みを出してみたら?」(近所のおじさん3)
「なるほど、アブラマシマシ良いっすね。じゃあやってみます!」(また調整し炒め直すヒデ)
「はい、どうぞ!」(ヒデ)
「、、、う〜ん、、、、違う。。なんか違うなぁ〜。ちゃんとタレも均一にしないと!はい、やり直し!」(近所のおじさん4)
「チッ、、、はい、分かりました。」(ヒデ)
「ちょっと待て、、『チッ』って何だお前そのフテクサれた態度は?!みんなお前を応援してるんだよ。お前が憎くてダメ出しをしているわけではないんだ。。分かるだろ?頼むからそんな気持ちで作らないでくれ。その気持ちが味にも出る。俺が調剤薬局でバイトしてた時の師匠の菅井さんがいつも言ってたよ。
『お前が出したその薬を安心して自分の子供に飲ませられるか?自分の大切な人に飲ませられるか?そういう気持ちでやってたら絶対ミスれないだろ?向こうからしたら俺らなんかただの町の薬局のおっさんだよ。でもな、それくらいの気持ちを持ってやらないとダメだぞ。』
ってな。お祭りのただの通りすがりのコレを食べてくれるちびっ子だって、誰かにしたら世界一大切な存在なんだよ。自分の大切な人に食わせるつもりで作れ!お前に足りないのはタレに向かう気持ちと本気度だ!」(私)
「、、、、へい!分かりました。」(ヒデ)
「、、テメェ、『へい』って何だよ!ナメてんのか!!」(私)
と雰囲気が悪くなったところで、近所のおじさん3が、
「じゃ〜ん、実は俺もタレを作ってきました!ヒデこれで炒めてみて!」
(炒めるヒデ)
皆で試食。
「う〜ん、コレはうまい。。刻んだニラと、、すりおろしの玉ねぎ、、そして、、」(私)
「あと何だコレ、、、トンネルのはるか向こうの光のようにうっすらと感じるフルーツ感、、」(おじさん2)
「さあ、何でしょう??」(おじさん3)
「、、、ん、、梨?、、梨か、、な、??」(おじさん2)
「あ〜あ!梨ですね!」(私)
「正解!梨でした!」(おじさん3)
「なるほど〜、その手があったか!!あ、今日そういえば娘の彼氏に大量に梨もらったんだ。梨ブレンドやってみよう!」(私)
(ミキサーで梨の汁を作成、ヒデ秘伝のタレに混ぜ、炒める)
「う〜〜ん。。」(全員)
「なんか、、、旨いは旨いんだけど、ヒデのタレと梨との相性があまり良くないような。。ニンニクの量かなぁ、、、、」(おじさん3)
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「、、、、、、やり直し!!」(全員)
「キィーーーーッ!!!」(ヒデ)
「お前が憎いわけじゃない。俺らだって眠いんだ。。頑張れ!!」(全員)
「ガチャ!」
飲み散らかしたヨメが3時過ぎに帰ってくる。
「アンタ、家の10メート先から開店前の(ラーメン)二郎の匂いがするわよ!!昼までに匂いもゴミも1ミリも残らず片付けてよね!!」(ヨメ)
「了解!!!」(全員)
などと、全員寝不足で迎えた本番。無事に400食近く完売しました!!この売り上げは全額寄付!だったらカッコいいのですが、もちろんそんな訳はなく、収益はヒデの家賃、光熱費に回ります!皆様、ご協力ありがとうございました!
このお祭りの出店も長年やってきた為、ファンの方々も沢山来てくださるようになりました。皆さん、とても紳士的で良い方ばかりで感謝しておりますが、一部、しつこくサインやら写真を求めてくる方がおり、「コレ、近所の祭りなんだからちょっとは考えてくれよ」と、ブチ切れそうになりました。例えるなら「自分の子供の運動会を全くの赤の他人が応援しに来ているような気持ち悪い感じ」。私の器の小ささが一番の問題なのですが、もうそういう対応も疲れるので今年限りで売り子は卒業し、調理部門に専念します!ありがとうございました!!
そんな楽しくもホロ苦い夏の思い出!
ヒデも都心に戻って来れるように頑張れ!!近所のおじさんたちは、もうとっくに50代だぞ!先に死んじゃうんだから、そろそろ本気を見せてくれ!!
ではまた来週!!