涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2024.06.11

 今週もツアーは無く、朝から縁側で鳥のさえずりに耳を傾け、梅昆布茶を啜り、11時になれば整形外科に向かい腰に電気を当ててもらう。そんな「老後先取り生活」を日々満喫させていただいております!

腰痛もだいぶ良くなり、薬も飲まなくても寝れるようになりました。今週末から始まるツアー後半戦もバッチリでしょう!



そんな中、先週末は事務所の昔の後輩の結婚式に出席して参りました。新郎は現在上場企業のサラリーマン、次のステージで頑張っているところだ。

式の序盤、新郎上司の主賓挨拶に続いて、私の乾杯の発声。司会者に呼び込まれ、マイクの前に立ち式場を見渡す。新郎新婦の上司や同僚、ご両親、親戚のおじいちゃん、おばあちゃん、さらには泣き叫ぶ赤ちゃんまで、、

イカン。。

コレは完全なるアウェーだ。。「美少年アイドル祭り」に「おじさんグループケツメイシ」が出るかそれよりもタフなアウェー感。やはりライブとは全然違う。完全なるダダ滑り。。しかし、あの堅苦しい雰囲気の中、式の流れを完全にポップな方向に持っていったことは間違いないと自負している。新郎新婦よ、おめでとう!!

新郎が所属したグループのうち6人が参列。久々に会う彼らも元気そうで何よりでした。1500人のオーディションの中から選ばれてデビュー。4年の活動の末、現在は解散。8人いたメンバーも、会社員になった者、飲食店を立ち上げた者、いまだ音楽で夢を追う者、人生はそれぞれだ。

現在、音楽のみで不自由なく暮らしていける位稼いでいるのが1人。そいつは高級時計をチラつかせて嫌な感じになっていました(笑)。コレだから成金はイヤですね!

「お前、そんな無駄遣いしないで、まずは新NISAでも始めろ!!この音楽業界に安定は無いぞ!!頭金を貯めて、駅から徒歩7分以内の資産価値の下がらない物件を買え!車とか時計なんてそれからだ!!まあ、でもローンだって組めないだろうがな!」

と、説教してやりました。でもまあ、、昔の極貧状態も知っているし、あそこからの盛り返しを考えるとスゴいと思うし「良くやったなぁ。。」とおじさんも目頭が熱くなります。

彼らは俺なんかよりものすごく歌も上手いし、才能あふれる人たちだけど、現実は厳しい。歌が上手い人が絶対売れるかというとそうでもなく、その時の時代の背景とか運の要素が物凄くデカいからです。頑張っても結果が出るかも分からないって辛いですし、芸術的に優れているのかと商業的に成功するのかも全くの別問題。

こんな我々がインディーズデビューから25年も続けて、いまだに全国ツアーを回れているのは、本当に周りの人のおかげと運が良かったからです。まだやれているのが不思議というか奇跡!でもそれですら必ず終わりは来る。

彼らもあのオーディションから10年以上。立派なアラフォーだ。普通の社会人なら課長とかになってヒィーヒィー言いながらも家族に囲まれて充実した日々を過ごして働いていたかもしれない。

夢ってホント怖いよな。芸人さんだって錦鯉さんみたいにアラフィフで成功しちゃう人もいるし、音楽だって1発とんでもないヒットが生まれたら人生ひっくり返せるかもしれない。辞め時と着地点を決めるのが本当に難しい。今の事務所の後輩たちにも、若いヤツに「頑張れ頑張れ!」って言うのは簡単だけど、10年戦士に「もう、そろそろ辞めたほうが良いんじゃない?」と言うのは難しい。こっちが言うのも見当違いだし、それぞれの人生ですからね。

ホントに夢は麻薬だな。。打ち続けるしかないのか。。

なんて事を、「披露宴で流れた過去の映像」と「打ち上げの深夜カラオケ」で感じた51歳。自分もこの先もどうなるか分からないですし、まずは次の仙台のライブ、そして全国ツアーを無事に乗り切ることを考えなきゃ、と「ふんどし」を締め直した一夜でした。

では、また来週!!!!!