涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2022.01.05

 明けましておめでとうございます!このコラムも私の記憶が正しければ18年目!!
Sammyさんからは「続けてくれ!」とも「いい加減辞めろYo!」とも言われていないので、
とりあえず2022年、1発目送りつけます。本年もよろしくお願いします!!

昨年の12/17に事務所の忘年会を終え「良いお年を〜!!」なんて別れてから5日程
経った昼下がり、我々ケツメイシの奴隷兼マスコットボーイ兼チーフマネージャーの
ヨネから突然の電話がありました。

「りょーさん、年末何してます?」(ヨネ)
「何って言われても、、家族で伊良部島に行って島の人と酒盛りして、海で釣りして、
昼寝するよ。」(私)

「あの、、音楽番組の誘いが来てまして、、」(ヨネ)

「アホかYo!年末に仕事なんてもう17,8年やってないじゃん。もう『良いお年を』もした
んだし、お前らだって仕事になったらめんどくさいでしょ?たまには家族でゆっくり過ご
した方が良いよ。子供だって小さいんだし、奥さんも大変なんだから子守しろ。じゃあね
バイバーイ!」(私)

「ちょっと待ってください!!それが実は『紅白』からのオファーが来てます。」(ヨネ)

「え、、うそだろ?冗談は顔だけにしろよ。金爆の『裏紅白』じゃないの?アレ面白いよね?」(私)

「いや、それが本当なんです。モノホンの紅白です。」(ヨネ)

「ウソだろ!こんな直前にそんな話来るわけないじゃん。紅白ってだいたい数ヶ月前には決
まってるんじゃないの?どうせアレだろ、『さくら』とか歌わされて見世物にされるんだろ
?オレはヤダね。じゃあねバイバーイ!!」(私)

「ちょ、ちょっと待ってください!ホントなんですって!!しかも『さくら』じゃなくて『
ライフイズビューティフル』を歌ってくださいってオファーが来てるんです。コロナ禍で気
分がどんよりしているこの時に、そっと背中を押してくれる様な曲をお願いしたいと言うこ
とでのまさかのオファーです!」(ヨネ)

「マジかよ。。そんな話あるのか。。メジャーデビュー20年、世間にもすっかり飽きられて『
絶賛下り坂中』のオレらにとって、それは大変有り難いオファーだなぁ。今まで見たこともない
人たちにも知ってもらえるかもしれないし、、有り難い。有難いなぁ。。いやぁ、、でもどう
なんだろ。そもそも今年1回もライブすらやってないのに、いきなりあんな大舞台って危険過ぎ
ない?舞い上がって歌詞飛ばしちゃうよ。大丈夫かなぁ。。いやぁ〜困った。俺にはもう分かん
ないから他のメンバーに聞いてみてよ。私はそれに従います!」(私)

なんてそんな話をしたことすら忘れていた数日後、蒲田のスナックで熱唱してたら、

「紅白出場おめでとうございます!」

なんてスナック「オアシス」の名司会者もんちゃんに言われて、「え、なんで知ってんの?」なん
て思ったらヤホーニュースにも出てて「聞いてないヨォ〜」の完全ダチョウ倶楽部状態。

そこからのLINEがスゴい。中学高校大学の友人、サラリーマン時代の先輩や同期、飲み仲間のお
じさん達まで、みんな「紅白出場おめでとうございます!」って、とんでもねー数のLINEが舞い
込んできます。

今までほんの数回、音楽番組とかバラエティー番組に出させて頂いたことはあったのですが、
これほど凄まじい反響は初めての経験。改めて紅白の持つ恐ろしい程の影響力に気付かされたのでした。

スナックでボロ酔いで明け方、家に帰り荷造り、数時間寝て、現実逃避の為、伊良部島に飛びます。
二日酔いで全然飲めないのですが、夜、居酒屋で会った島の知り合いの人たちにも、

「紅白おめでとう!」

なんて散々言われ、またプレッシャーを感じます。30日にリハーサルがあるというので家族より先
に東京に戻りました。



30日、国際フォーラム18時集合。普段の我々のツアーにはTシャツと短パンで完全にナメ切った格
好で来ているスタッフが全員正装。

「え、なんで皆んなスーツ着てんの?」(私)

「いや、紅白ですから。」

「全員スーツって葬式じゃあるまいしおかしいでしょ?この20年で見たことないよそんなの?」(私)

「当たり前じゃないですか。だって紅白ですよ!」

「、、、、ヤメろ!ヤメろ!プレッシャーを掛けるんじゃない!」(私)



19時、リハーサル開始。やはり直前に決まったせいか、楽屋から会場までが異常に遠い。同じフロアー
には大阪桐蔭高校のブラスバンド部の方達のみ。と言っても彼らは居ない。楽屋の扉に「大阪桐蔭ブラ
スバンド部 様」と張り紙がしてあるから分かっただけ。

完全に時間を分けてリハーサルをやっていたのか、出演者の方達にも誰にも会うことは無かったです。
エレベーターに乗り会場のフロアーに降りていき、会場までの廊下を歩きます。会場が近くなればなる
ほど、「石川さゆり様」、「天童よしみ様」と大御所の方々の楽屋前の「名前の張り紙」に震えが止ま
リません。

ステージから一番近い楽屋は「大泉洋さん」。歌手が歌ってる時はハケたり、進行の時には出てきたり
、何回も出入りする司会者ですからコレは納得の楽屋位置です。

ステージ袖に行きます。見たこともないとんでもない数のスタッフの皆さんが所狭しと動いてらっしゃ
います。生放送で絶対に失敗は許されない秒単位の時間厳守のステージの転換、キリンみたいなデカい
カメラの移動とかもあるワケですから、アレだけのスタッフの皆さんがいるんですね。感謝しかありま
せん。

「お疲れ様でーす!」

不意に声を掛けられて、振り返ると我々のツアーでPAをやってくれてた元気くんが居ました。

「りょーさんは14番のマイクでーす。」

なんて言われて、マイクを貰いに行くと、そばにはいつもツアーの時にイヤーモニターを付けてくれて、

「もう、りょーさん、チャック開いてますよ。上げときますね!」

なんて介護的な面倒まで見てくれる熟女系PAの前さんもいらっしゃいました。

良かった。。

ピリッとした現場で「完全アウェー」かと思ったら、そうでもありませんでした。やっぱり知ってる顔
が見えると安心するものですね!

またステージには信じられない数のバミリ(立ち位置とかを確認する目印)があります。私の足元のバミ
リには「KREVA、RYO」って書いてあって、コレにも癒されます。

1回歌います。PAさんがモニターに聞こえる音を調節してくれて2回目歌います。一応、メンバー皆んな歌詞
も覚えてて一安心。じゃあ帰ろう。って思ったら、

「次、カメラリハありますんで、15分後、お願いしまーす!!」

と、スタッフさんに言われてびっくり。1曲の為にこんなに入念にやるんだ。。我々のツアー1公演3時間位
やるのに、

「本番前に疲れちゃマズいでしょ。」

なんて言って、いつも即終わりするもんだから、あまりの違いにカルチャーショック!!

カメラリハです。大泉洋先生、川口春奈さん、和久田麻由子アナも登場。私、いつもNHKの夜の9時のニュース
見てるんですけど、何故見てるかって言ったら、それは和久田アナを見る為にであって「この人キレイだなぁ。
」なんていつもウットリ見てたからブチ上がります!

我々ケツメイシの紹介ビデオが流れ、和久田さん、川口さんが昔よくケツメイシを聞いてくれていたみたいな、
そんな話をしてもらった後に歌います。

「それではケツメイシでライフイズビューティフルです!」(川口さん)

コレも無事に歌って終了。歌い終わった瞬間、

「初登場いかがでしたか?」

なんて大泉先生に聞かれて、紅白ってもっと時間がタイトに決まっているかと思ってたか
ら完全にしどろもどろ。

楽屋に戻り主にMCを担当するメンバー大蔵と反省会。

「あそこはなんて言うのが正解なんだろうねぇ。なんて言ったってNHKだからさ、キンタ
マ出す訳にもいかないもんね。」(私)

「もう、ありがとうございます。で、最高の親孝行ができました!とかでいいんじゃない
ですか?」(大蔵)

「いや、それ普通じゃない?そうだなぁ、、お茶の間のプレッシャーにやられて(お腹抑
えながら)、、うんこ漏れそうです!って言ってケツ抑えながらハケていくのはどうかな
?」(私)

「そうですねぇ。誰も傷つけてないって言う面では良いと思うんですけど、それもNHK的
にはあんまり良くない感じもしますよねぇ。」

「分からないねぇ〜。何が正解なんだろう。下ネタでもなく、誰も傷つけず、それでいてホ
ッコリする様な感じだよね。。うーん分からん!まあ明日だね。」



そんな感じで12/30リハーサル終了ー!!



ちょっと長くなったので続きはまた来週ーーー!!!
今年こそ良い年にしましょう!!