涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2021.12.14

 先日、何だか喉に引っ掛かりがあって、特に食後にそれが酷くて、

その引っ掛かる感じが日を追うごとに段々と胸の方に下りてきて、お決まりの毎食後の「お昼寝」も出来なくなりました。

あまりの調子の悪さに不安になります。

「アンタ、食道癌とかじゃ無いでしょうね!」

私の保険金目当てのヨメが嬉しそうに言ってきます。

待ってくれ。。

俺には3年前に引っ越した家のローンがあと21年(死んだらチャラの団信は安定感のない歌手では組めない)、

留年した上の娘の学費があと1年&下の娘があと3年もあるんだ。

恐ろしくなり、飲み仲間のお医者さんに相談したところ、

近所で開業されている消化器の専門の先生を紹介してもらいました。



色々調べて、日常の酒量とつい最近のラジオで地方に行ってた時のボロクソ飲んだ話をしたら、

「アナタ飲みすぎですね。。」と言われ、結局、「逆流性食道炎」という診断が出ました。

あー、良かった。本当に良かった。。

来年はツアーもある。

声が出なくなったら歌手としても終わるし「ローンの繰上げ返済」も出来なくなってしまう。危ないところでした。

そう言えば夏に人間ドックで胃カメラ飲んだ時に

「噴門の弁が緩いから逆流性食道炎になりやすいかもしれませんね。」

なんて言われたのを思い出しました。



もう私も49歳。若くはない。

近所の飲み仲間のおじさんは55歳なのに、24時間ぶっ通しで飲めるのに、、、

アレに付き合うと私は翌日ポンコツなのに、それでもその人は元気に草野球の試合とかに出てたりするんだ。

バケモンだ。。

細胞レベルで作りが違うんだろうな。

私はまだ長生きしたいですから、最近は休肝日を設けるようにしました。



でも50歳になったら、毎年ア〇ルチェック(大腸内視鏡検査)と胃カメラはやった方が良さそうです。

飲めなくなったり、健康じゃない状態で生きていくって、やっぱり辛いですよ。

コレを読んでる中高年の方々も、ちゃんと検査しましょうね!!

私は今後「アヌスと胃カメラ」を毎年交互に検査していくことをここに宣言します。



そんな状態だったので、禁酒を4日ほど続け、薬もしっかり飲み続けてお利口さんに過ごしていていたある日、

すっかり気道の違和感もなくなったので、

「もう飲んでも大丈夫かな?」と近所のバーに恐る恐る寝酒を飲みに行きました。

激薄のハイボールにビールと、ほぼ水のようなお酒でリハビリ。大丈夫そうです。



いつも通り近所のおじさんと「海綿体と生命力」について論じていると、

何気にチラッと外を見た一人のおじさんが異変に気付きました。

「え、なんで。。こんな真夜中におばあさんが歩いてる。。みんな見えてる?幽霊じゃないよね?」

真夜中2時すぎにおばあさんが一人でトボトボ歩いています。

しかもこの寒空の下、ババシャツ一枚で歩いています。

違和感を感じつつも足取りはしっかりしていたので一旦スルー。

5分後、またおばあさんが店の前を通り過ぎます。これは明らかにおかしい。。

「確保!!」

店の外でおじさんがおばあさんに声を掛けます。菅井きんさん似の優しそうなおばあさんです。

「おばあちゃん、どうしたの?こんな夜中に。」(おじさん)

、、、、、、、、、、、、

「家に帰るんですぅ。」(きんさん)

「いや、おばあちゃんさっきもココ通ったよ。迷っちゃったのかな?」

「家に帰るんですぅ。」(きんさん)

「お家はどこなの?」

「川(恐らく近所の呑川)のそばのあの、、、」(きんさん)

これは完全に痴呆による徘徊です。

「おばあちゃん寒いから一旦中に入ろうか。」 おばあさんを店の中に入れます。

「みなさん楽しんでらっしゃるから申し訳なくて、、、」(きんさん)

、、、、、、、、、、

「家に帰らないと、、みなさん、楽しんでいるのに本当に申し訳ないわ。」(きんさん)

こういう場合はどうすればいいのか。

一応元気なので救急車でもないし、やっぱり警察なのか。と、すかさず110番。

5分後にチャリに乗ったお巡りさんが2人やってきました。

「家に帰るんですぅ!」(きんさん)

制服のお巡りさんに威圧感を感じたのか、おばあさんのご機嫌もナナメになります。

なんかおばあさんの意思を無視してお巡りさんを勝手に呼んじゃったことにこちらも罪悪感を感じます。

ですが、あのままババシャツ1枚で真冬の街を徘徊する方が危険だったはず。

職務質問が始まります。

「おばあちゃん、自分の名前分かる?」(お巡りさん)

「家に、、家に帰るんですぅ。」(きんさん)

×3

、、、、、、、

ダメだ。。全く会話が成立しない。

お巡りさんが許可を取って荷物を確認させてもらいます。

なぜか便所サンダル。よくわからないチラシ。身元の手がかりになるようなものは一切出てきません。

折り紙。コレはどうやら通所の老人ホームで作っていたもののようでした。

結局、なんの進展もないまま1時間弱が過ぎた時、店の前に車が止まりました。

「はぁ、やっと見つかった。。」

おばあさんの息子さんのようでした。

おばあさんが歩ける範囲の近所を散々探し回っていたところ、

お巡りさんとその自転車に気付いて、やっと母親を見付けた瞬間でした。

最近は徘徊癖がすごくて、拘束まではいかないけどそれくらいしないと

夜中でも勝手に出て行っちゃうみたいな話をされて本当に疲弊されている感じが伝わりました。



私よりちょっと上くらいの息子さん。本当に疲れ切っていた。

こんな夜中に母親を探して、恐らく明日も朝から仕事があるのだろう。

こんなことがしょっちゅうあるようだから、その気苦労は想像に難しくありません。

おばあちゃんも私の母親と同じ80才くらい。全く悪気はない。

言葉遣いとかからも、恐らくちゃんとした人で優しいお母さんだったんだろうなというのが想像できます。

誰も悪くない。怒りのぶつけどころもない。本当に悲しいことです。



もしコレが自分の立場だったらどうするか?

兄貴はシングルファーザーだし、猛烈サラリーマンだし、

まだ子供もこれから金が掛かるし仕事を辞める訳にはいかないだろう。

比較的自由な私が仕事を極力セーブして面倒を見るしかない。

でも周りにも迷惑が掛かるし、そんなんで果たして続けられるだろうか。

ツアーなんか絶対無理だ。。



もうすぐ日本のおじいさんおばあさんの人口が4割を超える。

こんな話は身近なところで頻繁に起こるようになるはずだ。

これを皆んなの問題として捉え、どうしたら皆んなに幸せな未来が訪れるのかを今一度考えてみたいと思います。

そんな訳で、離れて暮らしている両親に「脳トレ」の計算ドリル送りました。

それではまた来週!!!!