涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2019.07.30

 週末は蒲田に後輩たちのライブを観に、そして1曲だけ近所のおじさんたちと援護射撃の客演ラップ。
もともと事務所の後輩だったのですが契約が切れ、「また新たに4人で再出発を目指す」ということで私の近所の一軒家に4人で住んで頑張っていたのですが、
残念ながら「メンバーが一人脱退」という運びになっての卒業記念ライブです。

 卒業記念ライブと言ってもAKBのように有名なワケでもありませんから、いつも通り全員泥酔で罵声が飛び交う、ある意味ぐちゃぐちゃで素敵な卒業記念でした。
しんみりやってもしょうがないですからね。

30歳を過ぎると考えることもあるでしょう。普通に働いている同級生はそこそこ偉くなり、家庭を持ち、家を買うなんていうヤツも出てくるお年頃ですから、
売れないミュージシャンに対する親戚の目、世間の目はとても厳しいのです。

 「大丈夫。俺らが売れだしたのも30過ぎだよ。頑張れ!!」

なんて私が言い続けることが、果たして愛なのかも分からなくなってきました。まずはバイト生活を抜け出せる位売れなければならないのですが、これがなかなか厳しい。
頑張ったから売れるワケではありません。音楽業界は余程の天才を除けば「80%が運」の世界です。

ホントに自分の中で「やり切った。」という感覚があればスパッと潔く辞められると言いますが、そこの境地にまで辿り着いたヤツを私は自分の周りには一人しか知りません。
皆、生活、就職、結婚、出産と言った環境の変化。年齢は重ねているのに結果が出ない苛立ち、そういうものに押し潰されて辞めていくんです。

うちの事務所でライブ製作部門で働いているファ○コ氏はレコード会社が主催するコンテストで優勝し、サラリーマンを辞め、メジャーデビューを果たしました。
「30歳までに芽が出なかったら辞める」と自分の中で決めていたそうで、数枚CDを出しましたが結果が出ず、色々考えては曲を作り、最終的に200曲くらいデモを作ったそうです。
そこまで死ぬ気でやった彼には辞めた後悔は全く感じられません。今回のケツメイシのツアーもスタッフとして帯同してくれましたが、打ち上げで一緒に飲んでいる時も、

「袖でライブとか観てて、またやりたくならないの?」と私が聞くと、

「全く無いですね!これだけやってダメだったから仕方ないし、もう自分には才能がないと思いましたもん。」とサッパリしたもんです。

それに

「(今の事務所に)入れてもらって、こうして働いてて、今すごく楽しいし、毎日が充実してます。」

なんて言う清々しいその顔はとてもカッコ良い。

今回脱退したメンバーがそこまでの境地に辿り着いていたかは疑問ですが、仕事なんて何が向いているかなんて分からないし、新しい人生を頑張ってもらいたい。
続けていく残りのメンバーにも、

「辞めるも地獄、続けるも地獄。ただこれだけは言える。『辞めなかったヤツが残る』。そろそろいい加減、割り勘で飲みに行けるくらい売れてくれ!!」

と、引き続き鼓舞していくつもりです。人生振り返れば大概のことが笑い話になりますが、成功して本気で爆笑できるように頑張ってもらいたい!登れたら登れたで下るのもあっという間。
我々も現状を維持することですら難しい。大変な世界に入っちまった。まあごちゃごちゃ言ってる暇あったら頑張ろうぜ!!

なんて内輪ネタで終始しましたが、また来週!!!!!