涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2019.02.26

いよいよケツメイシ全国ツアーまで1ヶ月、ちゃんとしたリハーサルをやる前の「メン
バーそれぞれ勝手に歌詞覚えとけよ週間」に入りました。サボるのも自由、真面目に取り組むのも自由ですが、もう我々は20年選手。サボると後で恥をかく事を知っています。歌詞を飛ばせばヤジが飛んできますし、途中でゼーゼー言っちゃうとカッコ悪いです。
という事で、2月初めから多摩川沿いを大声でラップしながら真夜中に走っています。この前も2人組のお巡りさんにナンパされちゃってね。「危ないもの持ってないよね?」なんて言われたんだけど、川沿いに勝手に住んでるブルーシーターのおじいさんもワンカップ片手に奇声上げてた(←超ビビりました)からそっちの方もお願いしますよ、お巡りさん!!


 そんな中、土曜日は近所に住む後輩の月1ライブイベントがあったので行って来ました。元々は私と同じ事務所、同じレコード会社に所属したヤツらですが、この5年で売れなかったので昨年末にクビ。

「このまま地元に帰るのはダサすぎるだろう。もう1度地獄見ようぜ!!」

と、共通の意志を持った4人で新たなグループを結成。うちの近所に一軒家を借りて共同生活を始めたものの、バイトに追われ自宅でレコーディングをちょこちょこやる日々を過ごしていました。近所で飲んでる時に呼び出しても、

「お前ら今日、何やってたの??」(私)と聞けば、

「レコーディングです。」(メンバー)

「バイトして夜はレコーディングです。」(メンバー)

と、いつも同じ答え。

「お前ら趣味レコーディングかよ!!聞いてもらわなきゃ始まらないだろ?ネットにシコシコ曲上げたって、そんなヤツら星の数ほどいるわ!誰も聞かねぇYO!!ライブをしろライブを。まずは身近な人たちからだ。」(私)

なんて話をしてから数日後、近所の飲み仲間のおじさんの「ギター教室の発表会」をお付き合いで皆で見に行きました。300人位入りそうなその会場は場末感たっぷりのナイス雰囲気。その場で、

「お前ら来月ここ予約しろ!」(私)

「え!!ら、来月ですか?」(メンバー)

「そうだよ。今、予約してこい!今!!お前ら動かなきゃダメだよ!このままじゃこの生活は何も変わらないぞ!!」(私)

なんて言ったのが確か昨年末。勢いで始めたそのイベント、1月の第1回目は126名ものお客さんが来てくれました。まあまあ頑張りました。それでも、

「まあ1回目はご祝儀みたいなもんだからな。次だ!次が重要だぞ。(会場費と機材レンタル代もあるから)まあ80人位来てギリだな。第2回は取り敢えず80人目指そう!」(私)

それほどお客さんも来ないと思っていたので、またヤツらと一緒に飲んでた時に、

「もうさあ、近所のおじさんたちも出しちゃおうぜ!人呼べるしさぁ。」(私)

なんて言ってたんです。普段一緒に飲むおじさんたちは平均年齢49歳、勿論ラップ童貞。それでも後日、おじさんたちが作詞を始めると、人生経験に裏打ちされた予想外のオモロな出来に、

「コレで1曲完成させちゃいましょう。隙間をヤツら歌わせて、客演という形で一緒にステージ上
がっちゃいましょうよ!」(私)

なんて出演が決定!それからおじさんたちは真剣です!バーで合えば店内に爆音を流してラップ。グループLINEでは「ちょっとココの歌詞変えました。」なんていちいち報告。それぞれが仕事を終えてから深夜0時に集まってスタジオを借りてリハ。まさにバンドを始めた高校生が文化祭に向けて練習するようなノリ。アラフィフで青春を取り戻しました。

「歌詞覚えました?カラオケとライブは全然違いますからね!染み込んでないと本番で言葉が出てこないですよ!!」

と、私も頻繁にメールを送る。私の同級生の某テレビ局のプロデューサー(MC Sugar P)は生真面目な性格で、

「前日から半休取った。(ライブ)当日は生放送飛ばす。でも歌詞飛ばしてつっかえるのが夢に出てくるんだよねぇ。」と不安を覗かせながらも気合は十分。

「覚えた覚えた。もう大丈夫でしょう。ノリとバイブスでいけるでしょう!」

とナメていたのは外資系証券マンのアイドル好きの52歳、 MC テンション。

そして本番の日。まさかの230人ご来店!!!

「コレはヤバいかも。。」

と、おじさんたちの酒も進みます。トップバッターはヤツらの1軒家を仲介してくれた地元の不動産屋の社長、田◯さん。

「スナックの女、30人客で連れて行くから1曲歌わせてくれ。ヨロシク〜!!」

と、ヤツらに自ら出演交渉。全身白のスーツ、キメキメで永ちゃんのカバー。「ちょっとイベントの雰囲気と合わないから大丈夫かなぁ。」と私は心配していたのですが、まさかのブチ上げ!!完全に会場をロックしていました。流石です。て言うか、完全アウェーのあの雰囲気で「すげー度胸だなぁ。」と感心しちゃいました。やはり修羅場をくぐり抜けてきてる人間は違います。

そうこうしているうちに、ヤツらのライブが始まりました。頑張っています。盛り上がりも最高潮!
ヤツらの最後の曲で客演する我々おじさんたちは、一人ずつステージに上がっていきます。おじさんトップバッターはMCエノンプ(私の小学校の同級生、不動産を4棟所有)。そつなくこなします。ナイス!

続いて問題のMCテンション。客の盛り上がりを見てを頭が真っ白になったのか、カンペがわりにスマホを見ながら登場。が、しかし、、老眼で歌詞が、、、見えない!!、、、、、、、、やりやがった。。グダグダです。

そこから残りのおじさんたちはいいバイブスで盛り上げます。最後に私も登場。最近、西部ドーム(35000人×2日間)でライブをやってからの230人ですから、もう「赤子の手を捻る」とはこう言うことですね。

「ホント、ごめんなさい〜〜!!」

なんてMCテンションは土下座していましたが、なんだかんだでお客さんも「子供の運動会を応援する親のような気持ち」になってくれたようで、暖かい雰囲気でライブは終了!


明け方、皆で打ち上げに行った中華料理屋の会計が8万円でしたが、もちろんMCテンション持ちです。それにしても、おじさんたちで夢中に取り組んだこの3週間はホントに楽しかった。皆、おじさんたちも青春を感じてくれたみたいで私も嬉しかったです。幾つになっても挑戦だよ。と言うことで、私も来月からの全国ツアーではMCテンションみたいにならないよう、フンドシを締め直して臨みたいと思います!!


そうそう忘れてました。その後輩のヤツらのグループ名は「スメルノマニア」。全然、華も色気もない売れそうにない名前ですが、ツイッターとかもやってるみたいなのでどこかで見かけたら応援してやってください。私はツアーも始まるから手伝えるのは今月までだ。来月からは自力で頑張れYO!!


そんな感じでまた来週〜〜〜〜〜〜!!!