涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2018.10.30

 メットライフドーム(西武ドーム)での2日間のライブが終わりました。2日間で7万人ものお客さんが来てくださいました。おじさん感激!ありがとうございました!!チビ、デブ、ハゲ、酒乱の4人組、推しメンとなるような美男子が一人も居ない40を超えたおっさんのグループが、あの舞台に立てたことはホントに奇跡的なことですし一生の思い出になりました!20年以上前には3,4人の前でライブをすることもざらでしたし、ホントに強運と助けてくれる人たちが大勢いることで続けてこられ、あそこに立たせてもらいました。改めてありがとうございます!!


 それにしてもちょっと会場がデカすぎましたね。一番前の席と一番後ろの席じゃ3秒ぐらいズレがあるんではないでしょうか。個人的には毎日歌詞覚えてたりしてたんですが、全員揃ってちゃんとしたリハーサルをやったのも3回だけでしたので、不安だらけというか、もうヤケクソで臨んだので緊張感はゼロでした。ホントに不思議なもので、300人位の小さい会場で歌う方が緊張しますし、スナックとかピンパブのステージで歌う時はいまだにマイクを持つ手が震えたりしますからね。デカすぎると緊張を司る神経が麻痺するのかもしれません。不思議なものです。

 初日は自宅から近所の友達の車で会場まで送ってもらいました。ホテルに泊まると結局ハッスルして飲み散らかしてボロボロの二日酔いで臨んでしまうということが今までの経験から分かっていたからです。初ドームですから失敗は許されません。行きの車内で歌詞とコントの台本をチェック。ライブの進行表を見ると私のMC(5分)の箇所が2か所もあります。う〜ん、困った。何にもねぇ。。

「お前ら何か最近面白い話ない??」

同乗していた後輩ミュージシャンに聞きます。

「面白い話ですか〜?そうですねぇ〜。面白いか分からないんですけどこんなことがあったんです。」

以下こんな話です。

 ヤツはまだ音楽だけでは食べていくことができないので、普段は浄水器の設置、メンテナンスのアルバイトをしています。とある日の仕事先は天王洲の高級マンションの22階。1階の受付にはコンシェルジュも居るような高級タワーマンションです。依頼先を「ピンポーン!」と尋ねると優木まおみ似の綺麗な若奥さんが出てきました。

「作業が終了しましたらお声掛けしますので。」

と言ったら、汚いものを見るような目で「はいはい分かりました。」と素っ気なく奥に消えていったそうです。そのまま作業をしていると息子のヒロくん(年長さん)が現れて興味深そうに作業を見ています。何気ない日常会話の中で、

「僕ね、パイレーツカリビアン弾けるようになったんだ!!」

と言ってきたそうです。どうやらピアノを熱心に練習しているようです。

「そうなの?!すごいねぇ〜。お兄ちゃんもピアノは弾けるよ。」

なんてヤツが言ったところ、

「ママーー!!お兄ちゃんピアノ弾けるんだって!!」

なんてヒロくんが言ったところ、お母さんがやってきて

「ちょっと弾いてくださいます?」なんて言われたので、ヤツはバークレー仕込みの繊細なタッチでポロリと弾いたそうです。そうしたらお母さんウットリ。汚ねぇ作業員と思っていた男がいきなり高貴な旋律を奏でたので興奮したようでした。やはり女子はギャップに弱いんですね。

「今度是非ヒロにピアノを教えていただけます?もちろんお金はお支払いしますんで。」

なんて言われたそうです。なので一応連絡先を交換して、その日は浄水器の作業を終えて帰ったそうです。

 そんな連絡先を交換したことも忘れていた10日ほど経った日の夜中の2時、曲作りの作業をしていると見知らぬ番号から電話があったそうです。そうです。あの若奥さんからでした。

「ユミです。」

「ユミ、、さん??」

「あ、あのヒロにピアノを教えて貰った、、、」

「あーー、分かりました。どうしましたこんな夜中に?」

聞けばどうやら旦那さんは単身赴任をしてて、月に1度帰ってくるかどうか。専業主婦ということもあり、幼稚園の送り迎えや夕食の準備、1日が終わって子供が寝てしまうと無性に寂しさが襲ってくるのだという。

「おおっ!!そんでどうなったの?」(私)

「それで今度ピアノを教えに行くことになったんですけど、なんかちょっとおかしいんですよ。〇日はどうですか??なんて聞いたら『ちょっとその日は旦那が帰ってきてバタバタしてそうで。。』なんて言うんですよ。おかしくないですか?」

そして後日、ピアノを教えに行くと玄関にあった幸せそうな家族写真が無くなってます。おやおやおや??なぜかユミさんはメイクもばっちりで屈むとパイオツが覗きそうな緩めのTシャツにピチピチのホットパンツ。

ピアノのレッスン開始。ヒロくんの真後ろにヤツが立って手取り足取り教えます。そのすぐ真後ろにはユミさん。ヒロくんが詰まって「う〜〜ん。」ってなるとユミさんが、

「ヒロちゃん頑張って!!」とぐいぐいヤツの背中にパイを押し付けてくるそうです。

「僕、水道屋なんですけど、自分のお股の主水栓が破裂しそうでした。」

ヒロちゃんお方も「あれ??なんか今日ママいつもとちがう〜。。」なんて言うと、ユミさんの方が、

「何言ってるのよヒロちゃん!普段と変わらないでしょ!」なんてポッと頬を赤らめていたそうです。それを見た瞬間、ヤツは

「俺は『ユミとヒロちゃんを一生守っていく』って思っちゃいました。」なんて言ってるんです。

「ぎゃはははは!!既婚者じゃねーか。止めとけよ!!それでどうなった?」(私)

「いやりょーさん、実はこれまだシーズン2ぐらいで一応10話で完結予定なんですよ。まだ水道管は爆発してないんです。でも次は夕食に誘われてます。」

「そうなんだ。じゃあこの話を300%位盛ってMCにしていいかな?」(私)

「あーもう全然、自由に使ってください!」

会場についてリハを済ませ、いつも通り部屋に立てこもりMCを考えます。この話を膨らませようとしたものの、もうドーム向きではない下ネタしか出てきません。俺のバカバカバカ!!8割位作ったところで諦めます。結局、いつも通りのバタバタで「野球場だから野球寄り」で行こうとなりました。この「若奥さんとヒロちゃん」の物語は来年のツアーで公開予定です!!


 まあそんな感じでいつも通りのドタバタの2日間でした。終わって今考えれば「ああすれば良かった。こうすれば良かった。」ばかりです。が、過去は変わりませんし、結局このままのスタイルを続けていくことでしょう。こんな我々ですが引き続きよろしくお願いしまーす!!!


(結論)実力的にも音楽的にも我々は「ドーム向き」ではない。

そんなところでまた来週!!!!!!!