涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2018.06.12

 今、田中家は絶望に包まれています。我が家に来て早15年、我が家のアイドル兼娘たちの枕友達、愛犬のチビ助が寿命を迎えようとしています。4か月前にも危ない時があったのですが、その時は動物病院で点滴治療をしたのち、地獄の2丁目から奇跡的カンバック。

 それでも、もう目もあまり見えていなようで、最近は一日中一箇所で眠っていることが多くなりました。先週の金曜日、かなり弱り切っていたので病院に連れて行き血液検査をすると、「状況はかなり厳しい」ということで即入院しました。翌日に検査結果を聞きに来るよう言われ、後ろ髪を引かれながら私は家に戻りました。

 落ち着かないまま夜眠りにつくと、チビが夢に出てきました。もう死にそうなチビを私が抱っこしていて、

「ごめんなぁ、ごめんなぁ、もう少し一緒に遊んだり、もっと一杯散歩に連れて行ってあげればよかったよ。ごめんなぁ。。ああ、でもお前はそんなに散歩好きじゃなかったよな。」

って私が言ったら、チビが歯を出してニヤって笑ったんです。そうしてそのまま息を引き取ったんです。そこでガバッと目を覚ましたら、私号泣してました。これは多分入院しているチビが最後の力を振り絞って、最期の挨拶をするために私の夢に出てきたんだろうと思ったんです。もう逝ってしまったと思ったんです。

 翌日、動物病院に電話するとまだ生きていました。急いで娘と迎えに行くと、動物病院の受付の方の神妙な表情で大体分かりました。病室に行くと点滴を触らないように首にラッパみたいなのを付けたチビが力のない目で私を見ました。その目からは涙が出ているようで、

「パパなんでこんな辛いことさせるんだよ。。」とも言っているようでした。

獣医さんの話だと、前日よりも総ビリルビン量も倍以上になり黄疸もひどくて、これ以上治療をしても可能性は低く、余命もあと2,3日かもしれないと言われました。

「ごめんなぁ。辛かったよな。お家に帰ろう。。」

と、動物病院を出て、抱っこして斜め前のコインパークに向かう時には、私は人目もはばからず大声を出して泣いてしまいました。私は別に愛犬家でもなんでもなく、私の役目はただ餌をやってオシッコシートを片付ける位のことしかしていません。でしたのでこんなに悲しくてこんな感情になるとは正直思ってもいませんでした。それでも私には懐いていて、私が夜中歌詞を書いているといつも膝の上に乗ってきて眠り、邪魔をするものだから「もうどいてくれ!」
なんて横にやって、右手にペンを持ち左手でチビを撫でながら過ごした晩は数え切れないくらいありました。もっと甘えさせてやればよかったという後悔が頭から離れません。

娘たちに至っては、赤ん坊の頃から当たり前のように一緒にいて一緒に育ち、毎晩一緒に寝ていましたから、もうこの世が終わったくらいに絶望的です。今はほぼ眠っているチビですが、オシッコをしたいと思うと、力を振り絞ってオシッコシートのあるところにヨタヨタ歩きながら向かおうとするんです。

「オシッコなんか漏らそうが何しようがいいんだよ。無理をするんじゃない。。」

赤ちゃんの時から「オシッコはココにしなさい!」というその教えを、こんな死にそうになった時まで守ろうとするその姿が健気すぎてまた泣けてしまいます。昔アルバムを作ってた時にチビの歌を作ったんです。ボツになってこの世に出ることはないのですが、こんな歌です。

「あれは確か寒い冬の夜で 暗いペットショップ 隅の奥の方で
ただひたすらに待つ 時はいたずらに経つ 僕は『売れ残り』 大きくなりすぎた
ある夜 店の外に連れ出されたそこは酒場で 震えてる僕を抱き上げたのはあなたです
連れてかれて家に着くとママさんが『どうするの?』 言いながらも『抱き方はこうするの』
子供達は驚き 心から喜び 毎日三度散歩 連れ出されたお外に
子供達の布団潜り込んで夜は眠る 寝息が辺りを包み込んで僕は寝付く
気づけばあれから15年も経ってさ エサや水や散歩 忘れられることもあってさ
子供達は興味ないさもうね でもね今はあなたの膝の上

僕は愛犬のチビ この家きてもう丸15年 僕は愛犬のチビ 『幸せです』実を言うとね」


半分事実、半分フィクションですが、このボツ曲「チビ」を寝ているチビの横で流して聞かせてあげています。

「ごめんなぁチビ。お前の歌だったのにぃ、、これボツになっちゃったよ。」

なんて言ってるとまた涙が溢れてきます。果たしてうちで飼われて本当にチビは幸せだったのだろうか?こんなことをコラムに書いても仕方がないのですが、いずれチビが亡くなって何十年か経った時「ああ、あの時のチビは本当によく頑張った」って思い出すための記録として残しておきます。

今晩か明日の夜か分からないけどまだチビは生きている!精一杯愛情を持って看取ってやりいです。

ではまた来週。