涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2018.05.29

 「薄ピンク色のきめ細かいヒダからな、ジュワ〜っと黄金のお汁が溢れ出してくんねん。」

と、近所のバーで熱っぽく語る鈴木さん。なんのイヤらしい話かと思って聞いてたら蒲田にある2時間も並ぶというとんかつ屋さんの話でした。私はとんかつ方面には疎いので、まあとんかつなんてどこで食べても大体美味いですし、ラーメン屋ならまだしもとんかつ屋でわざわざ並ぶ人の気が知れないと思っていました。それでも佐藤さんの「その店のとんかつがいかに美味いかプレゼン」があまりに上手すぎて、聞いてた我々もどうしても食いたくなり明日並ぶことにしました。

「それをな、ソースじゃなくて塩でいただくねん。肉の旨みと甘みがジュワ〜っと口全体に広がってな、ホンマにとんかつの概念が変わるでぇ〜。できたら限定のリブロースカツを食べて欲しいねん。」

ホラ、皆さんもそのとんかつが食べたくなってきたのではないでしょうか。文章では伝わりづらいのですが、生で鈴木さんのプレゼンを聞いていると決めゼリフの直前はメガネをちょいと触って、その奥にあるキツネ目が鋭く光るのが分かります。細かい描写や間の取り方、話し方がパーフェクトです。

「合体ちゃうでぇ、ク○ニがゴールやねん!」

と、ク○ニについて熱く語っていた時は、50過ぎのおじさんの話聞いているだけなのに私、勃起してしまいましたからね。やはり「伝える力」というのはライブはもちろん、今後生きていく上でますます重要になっていくことでしょう。近所の偉大な先輩たちから学ぶことはまだまだ沢山ありそうです。


  日曜日は地元の商店街の祭りで「ビール&ハイボール屋」の手伝いをしておりました。上の娘も売り子として働きました。人生初バイトです。なかなか声もよく出ててよく働いてくれました。長丁場だったので事務所の無職後輩、1 FINGERの大志、IMANISHI、J-CROWNを急遽呼びつけて売り子をやらせました。「10杯売るたびに1杯飲ませてやる。頑張れ!」と道端に送り出しました。後姿を見ていると、道ゆく人の背後から近づきJ-CROWNがビートボックスを始めて今西が耳元でラップを囁きながらのビールの宣伝。

「、、、、、、おい、お前らいい加減にしろよ。。ナメてんのかよ!そんなんで売れると思ってんのか?何も知らない中年がいきなり耳元でラップしてきたら怖いだろうが!どうしたら1杯でも多く売れるかよーく考えろ!!」(私)

「ん〜、やっぱり並んでいる店には理由があると思うんですよ!だから私が店の前で美味し
そうに飲んでサクラ的な動きをしてみせるというのはどうでしょう。」(今西)


「なるほど〜。いいね。じゃあとりあえずやってみな!」(私)



1杯2杯3杯、、、、、、時間にして30分ほど、、


「、、、お前さぁ、ただ個人的に飲んでるだけじゃねーの??」

「え、そうですかぁ?じゃあ積極的に売らないと。『いらっしゃいませー!!ハイボール、生ビールかがでしょうー!!』」(今西)

「ちょっと待て、、『いらっしゃいませー』じゃねーよ!お前、目が真っ赤でボロ酔いじゃねーかよ!この真昼間に子連れでシラフで気持ち良く散歩しているママがベロベロの売り子から買うと思うのか?考えろ!」(私)

「まずはおっさんだ。すでに飲んでてホロ酔いの、できたらグループで座って飲んでいるような人たちに売ってこい!」(私)

「なるほど〜」

数杯売れ出します。「いいかCDを売るのもビールを売るのも規模が小さいうちは根本は同じだ。知ってるヤツ見つけて土下座して買ってもらえ!」(私)

なんてことを5時間ほど繰り返し、なんとか生ビールを売り切ることができました。我々もインディーズデビューのCDはプレス枚数が400枚ちょっと。150枚は知り合いのバー、200枚は親戚、友達、残りがお店に並ぶくらいのレベルです。基本「知り合い、友達に買ってもらう」。その1枚がまた友達に伝わり2枚になりまた友達に伝わり4枚、8枚、16枚、、、、、その倍々ゲームだ。ヤツらのアルバムがそもそも1000枚位しか売れてないのは、親戚、友達への「押し売りおねだり」の必死さが足りなすぎる。その辺を早く気付いてもらいたい。黙ってても勝手に売れるなんて、よっぽど本人が天才かスタッフが優秀しかないんだよ。我々は凡人なんだ。やはり「クンニがゴールやねん!」の鈴木さんばりにプレゼン能力を上げるしかないな。人を相手に売るんだからな。お互い頑張っていこう!俺も「食レポ」できるようになるぐらい頑張るわ!!

そんなわけでまた来週!!!!!