涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2024.02.27

 先日の夜、家でボヤッと焚き火を眺めていたら、かつての事務所の後輩から電話があり

「今、近くに来ているで飲みませんか?」

なんていうので、超久々に会いました。オーディションで合格してうちの事務所に所属したのが10年位前、それからグループでメジャーデビュー。5.6年頑張りましたが、結果が出ず契約切れ。最年少だった彼も既に30歳を超えていました。

「せっかく東京に出てきたのに何も結果出してません!このままじゃ終われないんです!」

なんてグループの残りの4人でうちの近所の一軒家を借りて再スタート。私の近所のおじさんたちにも可愛がられました。やはりおじさんたちからすると夢を追って頑張っている若者達は可愛い。飯や飲みに行った際も、近所のおじさんたちが居合わせれば勿論タダ、玄関を開ければ米俵が置いてあったりと、究極の甘やかしの日々を過ごしていました。

ただ、いくら飯とかキャバクラは奢っても現金だけは貸さない渡さないという暗黙のルールがありました。飯は死ぬほど食わせてやるけど、金だけは自分たちで売れて稼いで欲しいと思っていたからです。

そんな団体生活の一軒家の賃貸契約が2年。ライブもやって徐々に近所のライブハウスが満員になったりと手応えを感じ始め、流石に2年あればいけるだろうと思っていましたがコロナで頓挫。団体生活を解消し、それぞれ一人暮らしを始めました(←イマココ)。それからも既に3年近くが経過。

やはり距離って大事ですね。近所だと「ちょっと今から飲む?」なんてすぐ誘えますが、すっかり彼らとも疎遠になり、冒頭の彼と会ったのも今年初。久しぶりに会った彼は若干小金持ちになっていました。表に出るプレイヤーより昔からやっていた音作りの方で成功し、今やプチ売れっ子プロデューサーです。

二重瞼にプチ整形し、パーソナルトレーナーをつけ若干スリムになり、株まで始めていました。なんかちょっとイラつく感じです(笑)。近所のバーでの会計も割り勘になり、若干の寂しさを感じます。一緒に飲んでいた近所のおじさん達も、

「お、すっかり売れっ子になっちまったなぁ〜。奢られないお前なんて、、魅力ゼロ!!やっぱ甘えん坊が可愛いのよ〜。」

「やめてくださいよ〜!」

なんてやり取りを見てて分かった。我々近所のおじさん達はこいつらを通じて「推し活」をしていただけなんだ、と。「コイツらの夢は俺らの夢」、おじさんたちは「夢を見て頑張る若者を応援する」ことに快楽を覚えていただけ。もうすっかり育ち切ったアイドルには興味無いんだと。。

もちろん成功したのはヤツの努力。それは間違い無い。よく頑張った!おめでとう!コレからは謙虚さとコレまで世話になった人々への感謝、運を呼び込む日頃の行動、どれだけ売れてもそれさえ忘れなければ大丈夫だろう。

もうおじさん達は別のアイドルを探すよ!生活もままならない若者が「朝まで安酒を飲んで夢を語る」。それをおじさん達は推し活する!

ヤツと話してて昔話になり、「昔のグループのメンバーは今何をしてるの?」なんて話になり、あるメンバーは今「アジア料理屋を経営して頑張ってる」なんて話を聞いたので、早速後日、顔を見に一緒に店まで足を運びました。

地元の飲兵衛が集まるカウンターのアジア料理屋。料理も美味しくてこんな特技がヤツにあったとは知らなかった。我々がいる間も地元の常連さんがバンバン来て、すっかり地元に溶け込んでいました。なんか一国の主って感じがしてカッコ良かったな。彼の方は契約が切れた後、歌はスパッと辞め、別の道で頑張ろうと動いたらしい。

「なんか一番大事な20代の5.6年をオーディションで夢見させて、変な道に引きづり込んで本当に申し訳なかったなぁ。。」(私)

やっぱり、一緒に事務所にいてそこそこ繋がりがあったヤツらは「今どうしてるかなぁ。」って思う事がよくあって、彼にも申し訳ない気持ちでそんな話をしたんですが、

「いや、あんな大勢の前で歌ったり、緊張感を味わったり、あんな経験は普通に働いていたら絶対出来なかったと思うんで。。ありがとうございました。」

なんて言葉を本人の口から聞けて嬉しかったよ。

ヤツらも今30代、人生で一番頑張るべき時期。結局、人生が成功か失敗かなんて死ぬ瞬間にしか分からないし、何が幸せかなんてそれぞれなんだけど、それぞれの人生を皆頑張っている感じがして温かい気持ちになったな。。

そんな後輩達に久々に会った日の記録でした。

じゃあまた来週!!!素晴らしい1週間を!!