涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2023.06.06

 近所の原田さんは、仕事の休みが決まるとすぐ私にメールをくれます。

「りょーさん、明日休みです。二郎行きません??」

そうなんです。原田さんはジロリアン。ブタ、アブラ、ニンニクマシマシが大好きなラーメン二郎フリーク。

原田さんからメールをもらうと「明日、原田さん休みだから二郎行くけど行く?10時15分俺んち集合!」と近所の後輩にもメール。

当日、後輩がうちに来て、そして10時20分原田さんちに到着。車で15分程でラーメン二郎上野毛店到着。

我々、おじさんたちは11時開店までシャッターが開くのを待つ。そんな二郎ライフが月に1,2回あるんです。

先日もそんな感じで後輩を乗せて原田さんちに向かう。10時20分原田さんちに到着。

いつもは玄関先で我々の到着を最高の笑顔で迎えてくれる原田さんが、今日は何故かまだ外に出てきていません。

「あれ、原田さんが遅れるの珍しいなぁ。昨日飲みすぎて寝てんのかな?」

なんて待つこと3分。

「すみません!遅れちゃって。」

原田さんが玄関から出てきました。私の車の助手席に乗り込んできた原田さんはうっすら額に汗をかいています。

「どうしました?なんか事件ありました?」

「いや、すみません。ちょっと急ぎで女房を抱いてたもんで。」(原田さん)

「え、、、、(笑)原田さん、、それにしても〜、、抱きますねぇ、、抱き続けますねぇ〜、奥さんを。」(私)

「ええ、下の娘を保育園に送った後がチャンスタイムなんです。」(原田さん)

「いやぁ〜さすがだなぁ。。抱くなぁ〜。」(私)

確か原田さんちは一番上のお嬢さんが大学4年、長男が大学1年、そして歳の離れた妹が4歳。

その一番下のお嬢さんを授かったという話を聞いた時、それってその赤ちゃんが大学出る頃には原田さんは70歳ってことでしょ、、大丈夫なのなぁと思って、思わず聞いちゃったんです。

「原田さん、、それって本当に『おめでとう!』で良いんですか??!」って、

すると私の発言を遮るように原田さんは言いました。

「何言ってるんですか、りょうさん!!新しい家族が増えるんですよ!こんな素晴らしいことって他にあります?!」(原田さん)

結婚前の交際期間を考えても、原田さんは30年近く奥さんを抱き続けていることになる。

二郎に向かう車の中でも、

「いやぁ、それにしても抱くなぁ。ホント抱く。抱き続けるなぁ〜原田さん。ふふ。」

なんて運転しながらも私の驚きと感嘆の独り言が止まりません。それに呼応するように後部座席の後輩も、

「抱き続けて30年。いやぁ〜すごいなぁ。。原田さんも凄いけど、、、逆に奥さんが凄い!!」

なんて感じで、その話で持ちきりでしたよ。



そんなことがあった夜、寝酒を飲みに行った近所のバーで居合わせた40代後半から60代のおじさん達に「どれくらいの頻度でヨメを抱いてますか」と緊急調査。

「ホンマかいな〜原田さん、、うちはめちゃくちゃご無沙汰やねんけど、相手が変わればまだまだいけるでぇ〜」

と、メガネの縁を押さえてレンズ越しにいやらしい目を輝かせる加瀬さん(60代保険業)。

「うちはヨメが『2人目が欲しい』なんて言い出して、そこから基礎体温とか付け出してスマホのカレンダーの家族の予定表にハートとか付けられるようになって、、それ以来ダメですね。愛から作業に変わった瞬間でした。。」(40代飲食田代さん)

「うちは下の娘が今年大学1年で、、それ以来ということになるので、おそらく19年近くお無沙汰ですね。」(56歳金融松川さん)

「うちもたまに酔った勢いで突撃を試みるんですけど、『触んないで気持ち悪い!風俗行け!』とか言われちゃうんですよ。昔はすけべな女だったのに、、何でなんでしょう、、更年期ですかね?」(50歳歌手)

と、そこにいた全員が「完全ご無沙汰状態」ということが判明しました。改めて「抱き続けて30年」の原田さんの偉大さが浮き彫りになりました。

そこにいた皆の共通意見としては、やはり結婚20年を超えてくると「愛の形にも変化が生じてくる」ということです。

長く一緒にいると、「愛」というよりも「チーム」、子供優先の先に家族全体の幸せがあるという感じなんです。

私なんかも、たとえばステーキを切って取り分ける時、思わず一番美味しい部分はヨメよりも子供に分けてしまいますし、傘が1本しかない時に雨が降り出せば、ヨメよりも子供が濡れないようにそっちに差し出してしまうことでしょう。

「いつまでも恋人みたいな関係でいたい!」そんな寝ぼけたことを言ってるそこの新婚夫婦及びラブラブカップル。コレが現実だよ!

そんな話をしていたらバーの扉が開きました。噂をすればの原田さんです。

「すみませんコリョナ(コロナ)を1本!」

いつも通り近所のおじさん達の話にニコニコしながら耳を傾けていた原田さんですが、1本飲み終わった時点で、

「すみません。お会計を!今日はコレで帰ります。」(原田さん)

「アレ、明日早いんですか?」(私)

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

「いや、帰ったら女房を抱かないといけないんで。。ヤツが俺を求めてるんで。じゃあ、今日はコレで失礼します!」(原田さん)

「、、、、、、、、沈黙」(一同)

「、、、、、、、すげ〜〜〜!!」(一同)

「あっぱれや。」(加瀬さん)

「いやぁ〜それにしても、、抱くなぁ、、抱き続けるなぁ〜〜。。。。。」(一同)



そんな感じでその日の大田区の夜も更けていったのでした。

それではまた来週!!!!

そんな原田さん、いや原さんは有り余る精力を発散するために執筆もされていて、「家族のカタチ〜彼女の旅立ち〜」(原敦 著)を出版されているのでアマゾンでチェキ!宜しく!!