涙でリールが見えない RYO from ケツメイシ

2023.01.31

 単なる気候変動なのか、じじいへの入り口である50歳という年齢からくるものなのか、ここの所の冬は東京でも身に染みて寒いです。

起きるのも辛く、2度寝3度寝の日々。

そんなある日の午前11時、台所で飯の準備をしていた所、

「ジョォ~~~~~~!!ブシュ~~~~~~!!!」

と滝のような音が聞こえてきます。 

お隣の小川さん所のおじいちゃん、最近シッコの切れが悪いなんて話してたし「随分と長いシッコだな笑」なんて思いつつも、いやこれはもはやシッコどころの音では無い。

坂井さんの所の庭の芝生のスプリンクラーか、いやそれにしても長すぎる。

玄関の扉を開けて外に出ると、地面には近所の「呑川」位の勢いで左から右に水が流れているではありませんか!!

ウソだろ。。

その水源を辿ると、自宅の以前の住人が数十年前に付けたであろうと思われる水撒き用のオンボロの蛇口の根元が破裂。

富士急ハイランドの「クール・ジャッパーン」の着水時並みの水しぶきが常時撒き散らされ、家の外の敷地の1/3位を水浸しにしています。

はぁ~。そういえば昨日の夜のニュースのお天気お姉さんが、

「明日未明は氷点下が予想されます。水道管が破裂する恐れもありますので、蛇口を開けてお休みになるのがオススメです。」

なんて言ってたけど、「さすがに東京でそれは無い。絶対無い。」なんて思ってたけど、お姉さんのいう事を聞いておけばよかったよ。。

とりあえずビニールテープを持って敵に立ち向かいます。

台所の水道を止めるみたいに、その箇所だけ水を止めるような栓も見当たりませんので仕方ありません。

「ブシュ~~!!うわぁ~~!!!」

破裂箇所にテープを撒きつけようとするも一瞬で弾き返されます!

全身ずぶ濡れです。

この感じなんか記憶ある。。と思ったら以前、檜原村で体験した真冬の滝行でした。

ずぶ濡れの体に真冬の冷たい風が応えます。

一旦自宅へ避難してお着替え。今度はレインコートも着用。

このまま水が出続けたら、ご近所も浸水するし、水道代もド偉いことになると思い、とりあえず水圧を弱めようと、

「手ぬぐいで蛇口をぐるぐる撒きにして水圧を弱める作戦」です。

根元にタオルをかけ固結び1周、2周、、、3周目に掛かったところで手ぬぐいの結び目が水圧で解け、手ぬぐいが「暴れ馬」!

手ぬぐいが宙を舞い、またもや「クール・ジャッパーン状態」!再度ずぶ濡れ。

「アカン。。」

思わず関西弁も出ます。

こういう時はどこに電話すればいいんだろうと、とりあえずHPで見た東京都水道局に電話。

すると地元の大田区周辺の水道屋さんを紹介してくれたので電話。

個人経営の店なのか会話も困難なおばあさんが出てくる。

「今日はとっても忙しいので夜の7時過ぎになってしまうと思うの?」(おばあさん)

「なるほど。7時過ぎでも良いのでお願いします!お願いはしたいのですが、、それまでずっとコレ(水)は出っ放しですか?このままで大丈夫ですかねぇ?最初気付いていなかったので、かれこれもう7時間位は出てて家の周り水浸しなんですけど。」(私)

「ええ、7時過ぎに行きます。」(おばあさん)

「いえ、そうじゃなくて、なんか止める方法ないんですか?」(私)

「ツーツーツー」(切れてる)

こりゃダメだな。来てくれるか分からんぞ。コレは水のトラブルでおなじみのあそこに電話か。



でもあそこ「水のトラブル4000円~」ってなってて、~の右側がスゲー事になるのは有名な話。

前も便器が詰まった時も、色々言った挙句、なんかバズーカーみたいなの持ち出して、

「ここから2.5万円になります。」

なんてこともありました。

この前も近所の飲み仲間の夏山さんが白衣のポケットから「鍵の束」を便器に落としてしまい、それがスルんと奥までいってしまった時のこと。

自分で便器に腕を突っ込んでもどうやっても取れなかったそうです。

便器の排水管は溜まってる水自体で蓋(匂いとかが戻ってこないように)をしているらしく、スキーのジャンプ台を対称にくっ付けたみたいな形になっているらしいんです。

夏山さんが落とした時の「鍵の束の重さ」、「落とした時の入水角度」、その「入水スピード」、それら全てが悪い方に完璧に合ってしまったらしく、「レジェンド葛西選手」ばりにK点超え。

もはや素人では取れない領域に「鍵の束」はいってしまったのでした。

仕方なく例の業者を呼ぶと、便器を根こそぎ取り外してかなり大掛かり。

それでも見つからず、今度は内視鏡みたいなのを取り出して発見に至ったそうです。

その時の料金は7万円ほど掛かったそうなのですが、「最初から内視鏡で見てくれよ!」と支払いながらもモヤモヤした感じがあったそうです。

まあ、その話は置いといて、夜7時までどうしたものか、、と頭を抱えながら「ブシャー」を眺めながら一服。

「あ!そう言えばヤツ水道屋じゃなかったっけ。」

と、たまに飲み屋で会うガースーを思い出しました。うちでバーベキューをやった時も、

「りょーさん、庭の排水管が詰まり気味ですよ。ちょっと見ときますね。」

なんて綺麗にしてくれたことを思い出しました。

ラインで動画を送り、状況説明の文章を打ち込んでいる時に早速電話を掛けてきてくれました。

「りょーさん、水道のメーターどこにあるか分かります??検針の人がたまに来てるはずなんですけど。」(ガースー)

「メーター?知らないなぁ。どこだろう?」(私)

「多分、りょーさんちだと駐車場のところに小さい長方形のマンホールみたいなのありません?」(ガースー)

「おお、あったあった!」(私)

「そこ開けたらメーターにある銀色のヤツがひゅるひゅる回ってませんか?その根元の蛇口を閉めてください。そしたら家の水道全部止まりますから。一旦それで待機しててくださーい。」(ガースー)

「おお、止まった~!まじでありがとう!助かったわ~!」(私)

「今、横浜で作業してるんですけど、その次、品川(区)行くので途中で寄りまーす!!」(ガースー)

「おお!まじか!お前、神様じゃないのか!ありがとう!!」(私)

安心してさっき電話した水道屋を断る。

2時間後、ハイエース到着。車内にはmakitaの工具が死ぬほど詰まってます。

「忙しいのに悪いね?ホントありがとう!!助かるよ。」(私)

「全然良いですよ。りょーさんにはお世話になってますから!」(ガースー)

「いや、何も世話してねーけど。。」(私)

私は今まで夜、飲んでいる場面でのヤツしか知らず、昼にはこんなにテキパキ働く男とは知りませんでした。

makitaのドリルのトリガーを優しめに握りながら、防水テープをくるくる巻きつける職人テクにもウットリ。

カッコいい!

「お前やるなぁ!もう俺はお前に抱かれたいYO!でもホントに今日は忙しいでしょ?」(私)

「そうですね、今日は8軒ですね。古い家も多いから、りょーさんちみたいに水道管破裂もいっぱいありましたよ。」(ガースー)

「そうだよなぁ。でもみんなに『ありがとう!ありがとう!』って言われたでしょ?」(私)

「そうですね。特に今日はみんな喜んでくれてます。」(ガースー)

「そりゃそうだろうなぁ。あのまま(水が)止まらなかったらどうなってたことやら。俺、今、お前が神様に見えるもん。人に喜んでもらって感謝されるってのは実に良いよなぁ!職人って素晴らしい仕事だよ。」(私)

「いえいえ(ニヤリ)。」(ガースー)

と、ヤツはわずか20分程で仕上げ次の現場に向かいました。

いつも思うけど、やっぱり職人はカッコいい。

私、絶対できないですもん(組み立て式のテーブルでなぜかネジが余る位)。

きっとヤツは今日もどこかで人々を「幸せと安堵の気持ち」にさせていることだろう。

まじで助かりました。ありがとう!!!



(結論) 人は見かけによらない。

そんなわけでまた来週!!!!!